ある方に土門拳の写真展があると教えていただきまして早速行ってみました。
日本橋の三越です。 結構な人出で賑わってました。 写真は昭和の記録、的な面もありますから来場者の声を聞いていると面白かったです。 戦中、戦後の自分には実感の無い日本の姿に「こんなだったなあ」とぽそっと漏らす年配の方。 これもリアルな日本だったんだなと感じますね。 いくつかのスタイルの写真が展示されていましたが、やはり自分は仏像と文楽人形が良かったです。 [PENTAX K-m & DA55-300mmF4-5.8ED] いや、この写真はたまたま以前撮ったものがあったので載せただけで こういうのじゃないんですよ... 間違いなく拳さんに拳で殴られます(笑)。 土門拳の仏像は、目で見た感じに近くなるようにピントをシビアに追い込んで 独特のライティングで生々しく仏像を浮かび上がらせているんです。 しかし、なぜあの仏像に惹かれるんでしょうかね。 仏像というのは修行をしている人、悟りを開いた人の像ですよね。 そこには常人が到達出来ないものを手にした人に対する尊敬があり、 自分の悩みを受け止めてくれる慈悲深さがあり、 また愚かな自分をしかってくれる厳しさがあるんだと思います。 つまり人間の弱いところを見守って引き上げてくれるパワーがあるんでしょうけど、 そんな人が求める寛大さを仏像の作者は像の表情や姿に込めて制作したんだと思います。 その表情が一番出ている部分を土門拳が効果的に切り取って、より広くに紹介している、と。 だから、 人々の願い -> それを像に込める作者 -> 像に込められた想いを抽出して広く紹介する土門 -> 写真をきっかけに仏を知り癒される悩める人々 という風に感情の流れが出来上がったのではないでしょうか。 文楽人形の写真は非常に古い時代のものですからモノクロのものしか見たことが無く、またそれが良い雰囲気なのですが、 きょうはカラー写真が展示されていました。 しかし説明文を見てみると 赤、緑、青、黒抽出用のフィルターで別に撮ったものを合成してカラー写真を作ったとあります。 すごいですよね。技術が発達していない時代はアイディアでカバーですよ。 その不自由さが面白いんですけどね。 そういえば土門拳が仏像写真にのめり込んだ理由なんですけど、 それまで報道写真を手がけていた中で脳出血になってしまい、 フットワークに限界を感じるようになってしまったため方向転換した、というんですね。 これって肉体的な「制約」ですよね。 またモノクロ写真というのも当時としては技術的「制約」ですよね。 本人の意思による選択ではないんだけども、結局その条件の中から行くべき道が決まったり 独特の作風が生まれたりするというのも面白いなと思いました。 ところで経歴を見たら横浜翠嵐高校卒業とあります。 父と同じ高校じゃないか、と。 大学が一緒というのも話題になりますが高校というのは確率もだいぶ低いでしょう。 しかもその後写真学科にすすむ父はおそらく土門拳の存在を当時から知っていたのではないか、と。はたして何を思っていたのかなあ。 って今も健在なんで今度聞けばいいんですけど。 自分ももう20年くらい前に写真に興味持っていればいろいろ話もできたんでしょうが(笑)。 なんだかきょうは時間があったので長文になってしまいました。
by tig3ti
| 2009-03-07 23:14
| カメラ/写真
|
Comments(6)
Commented
by
なかはら
at 2009-03-08 02:57
x
岡本太郎画伯が写真をたくさん撮っていたの知ってますか?
日本の田舎のお祭りとか、返還前の沖縄とか縄文土器とか。 モノクロで真面目な構図の写真(ぜんぜん爆発してない)が多いのですが、お祭りや地方の風習などは、今ではもう廃れてしまって見られないようなものだったり、沖縄では巫女の老婆や、地元で神が降りてくると言われてる場所とか。 僕はそれらの写真を岡本太郎美術館で観たのですが、これが良かったんです。 土門拳の作品に通ずるような力強さもあって、縄文土器に対するライティングも独特で。じわじわくる爆発みたいな情熱を感じました。 もし機会がありましたらぜひ御覧になってください。
1
Commented
by
tig3ti at 2009-03-08 14:01
Commented
by
seqtaxus08 at 2009-03-09 02:35
Jazz で検索して、寄らせていただきました。本格的な写真が並んでいて、圧倒されました。ぜひ、リンクさせて下さい。seq
Commented
by
かんからかん
at 2009-03-09 23:52
x
わ 土門拳 行けたのですね。私は 遊ぶこどもたちの表情に
圧倒されましたよ。 今の子たち そもそも 道で遊ばないけど 表情薄いよね。 なぜだろう。 ところで 一度にゴリ押しもなんだから 次は 岡本太郎を オススメしようと思っていたら オススメされてて 笑ってしまいました。 私もまだ 川崎は 行ってないのですが テレビで 見て 絵や 太陽の塔より 写真の方がずっといいな と 思いました。 その次は 森山大道です。(笑)
Commented
by
tig3ti at 2009-03-10 00:54
seqtaxus08 さん
お寄りいただきありがとうございます。 すばらしい絵がたくさんあって驚きました。 マイルスのスケッチはご存知でしょうか。 あんな感じでさらっと描けたらどんなにか 楽しいのだろうと思っていました。 ところでこちらではリンクの登録というのをやったことがありませんでした。 どうやったらできるのかこれから調べますので少しお時間いただきます。 かんからかんさん 行ってみましたよー。 すばらしい情報ありがとうございました。 森山大道はかなりの頻度で名前を目にするものですから いずれチェックしなくてはと思っていました。 調べもの満載です(笑)。
Commented
by
なぁく
at 2022-09-22 14:54
x
この仏像ってなんていう名前なんですか?
|
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
Panasonic GM5
LUMIX G 20mm/F1.7
Pentax K-5
M.ZUIKO 45mm/F1.8
SONY α7S
D FA Macro 100mmF2.8
Olympus E-PM2
Pentax K-x
M.ZUIKO ED 12mm/F2.0
DP1
PENTAX K-m
FA77/1.8 Limited Black
FA50/1.4
DA35/2.8 Macro Limited
FA43/1.9 Limited Black
DA16-45mmF4ED AL
LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7
DA 21/3.2 Limited
DP2x
DA55-300mmF4-5.8ED
FA31/1.8 Limited Black
SIGMA 30mm F1.4 EX DC
DA 70/2.4 Limited
SIGMA 10-20mm F4-5.6
Pentax K-m
SMC-A 28/2
LUMIX G 14mm/F2.5
SMC A 24mm/F2.8
DP1 Merrill
SMC A 28mm/F2
Foveon
DP2 Merrill
SMC P 50mm/F1.2
9mm F8.0 Fisheye
SIGMA DP1 Merrill
SIGMA DP2 Merrill
DA L 18-55mmF3.5-5.6 AL
DA L 50-200mmF4-5.6 ED
DA35/2.4 AL
SMC M 200mm/F4
Speedmaster 50mm F0.95
FA35/2.0
SPEEDMASTER 25mm/F0.95
SMC-M 200mm/F4
COSINA 19-35mmF3.5-4.5
pENTAX K-m
Samyang 85/1.4
SMC A 24-50mm/F4
PENTAX K-x
Panasonic GM1
M.ZUIKO 17mm/F1.8
FA31/1.8 Limited Black(
FA28/2.8 soft
Dp2x
DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5ED
FA85/2.8 soft
SMC A 28mm/F2]
SMC-P SHIFT 28/3.5
DA 70/2.4 Limited]
SMC-T 28/3.5
E 50mm F1.8 OSS
FA77/1.8 LSIGMA 30imited Black
FA35/2.0]
[SONY α7S & FA35/2.0]
SMC M 200mm/F4]
FA 100-300mmF4.5-5.6 ED
Exilim EX-S10
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||